長方形のデスクは、最も一般的なデスクの形状と言えます。

オフィスデスクと長方形

 パーソナルスペース、という言葉があります。 1966年にアメリカの文化人類学者のエドワード=ホールにより提唱された考え方で、「他人に近づかれると不快に感じる空間」の事を指します。パーソナルスペースの広さや形は社会文化や民族、個人の性格やその相手によっても差があるとされ、男性なら前後に長い卵型を、女性ならほぼ球形を取るといわれます。人間の心理に面積があるとするなら、長方形ではなく円形に近い事になります。
 しかし、オフィスデスクの天板は長方形(矩形ともいいます)が標準的な形です。これは端的に、直線と直角で構成されている方が生産しやすかったからと考えられます。オフィスに流通している紙もまた長方形ですが、調べてみると面白い事例があります。古代エジプトのパピルスはその製法上から必然的に長方形になりますが、帝政ローマ時代以降に用いられた、獣皮から作る羊皮紙という紙は、長方形でない素材を、あえて長方形に切り出して用いられていました。人間の生活に関わる製品として、長方形の概念は古来より親しまれていたようです。

 日本のオフィスにおいて、オフィスデスクは大きな長方形状の、いわゆる“島型”に整然と配列されてきました。これは、床面積の限られる日本のオフィスならではの工夫といえますが、ここにも長方形という概念の寄与があったといえましょう。日本から生まれたフリーアドレスデスクの天板もまた、やはり長方形です。

 なおメーカーのカタログを参照しますと、長方形を「矩形」と表現する事例が多いようです。意味は同じになります。

天板が長方形をしていないオフィスデスクもあるのです

 オフィスデスクは執務者が専有する空間であり、一種のパーソナルスペースであるといえます。冒頭でも述べました通り、パーソナルスペースは基本的に球形ないしは卵型を取るといわれます。人ひとりの手が届く範囲もまた直線では表現されません。仮に、安定的な需給のバランスが実現されるならば、非矩形のオフィスデスクが存在しても不思議ではない事になります。そして、非矩形のオフィスデスクはすでに流通を始めています。

 IT化が進んだ現代のオフィスにおいて、非矩形のオフィスデスクには大きく2通りあるようです。個人のPC作業に特化した集中作業タイプと、半フリーアドレス化した他者とのグループ化が容易なタイプです。前者は天板の高さや傾斜が調整でき、後者はキャスターがついていて移動が簡便です。また双方とも、しばしば天板に「ボディポケット」と呼ばれる湾曲を設けている事があります。
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