天板の高さ調節は、一部のユニバーサルデザインのデスクにおいて可能です。

チェアの座面が上下昇降するなら、デスクの天板もしていいはず!

 もしオフィスデスクの天板を上下に昇降させられるのだとしたら、オフィスワーカーにとってこんなにありがたい事はありません。オフィスチェアには上下昇降機構がついているものですが、オフィスデスクの天板は往々にして上下昇降しないのです。

 人の体格はそれこそ人それぞれです。オフィスチェアに最も自然に着座できるチェアの高さは個人により異なり、個人に合ったチェアの高さでその人が最も自然に執務できるデスクの高さも、本来異なるのが道理といえます。ですが残念な事に、オフィスデスクの天板を上下調節させるのはなかなか容易ではないのです。量産性と強度とがネックになっていたようです。

 近年になって状況は俄かに変化を見せています。2000年代に入って以降、主要メーカー各社とも天板上下昇降機構を組み込んだオフィスデスクを発売するようになったのです。シリーズ名に“UD”の文字が付帯しているオフィスデスクなどです。UDは、ユニバーサルデザイン(Universal Design)のイニシャルです。天板の昇降機構には、電動式・ハンドル式・ピン式などがあります。

ユニバーサルデザインとオフィスデスク

 ユニバーサルデザインとは、文化・言語・国籍・老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいいます。ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターの所長であったロナルド・メイスが1985年に公式に提唱した概念で、「できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザインにすること」が基本コンセプトになっています。
 
 現代的なオフィスデスクは、産業革命以後に登場したものです。蒸気機関で木材が大量に輸送される事により紙が安価で量産され、通信および記録の媒体として紙が大規模に普及、書類・文書を扱う“ホワイトカラー(事務労働者)”であるオフィスワーカーが職業として成立するようになりました。彼らは主に上流階層出身の知識人など一定の教育を受けた者たちで構成され、実業家の経営作業の一端を担う一方で自らもまた実業家への道を歩む者が多かったといいます。

 オフィスデスクもオフィスチェアも、当初は木製でした。その後、技術の発展により、デスクはスチール製に、チェアはスチール製を経てエンジニアリングプラスチック製に移行しています。より丈夫で軽く、多機能なオフィス家具が生産されるようになりました。

 その一方、ホワイトカラーが担う職務も多様化しています。社会の発展と軌を一にして、企業や社会を流通する書類・文書は複雑化しています。また、かつて普及したタイプライターは、パンチング(入力)作業という職能を生みだしました。その後、IT革命によりPCが普及し、かつて「人ひとりにデスク1台」だったオフィスの形態は、今や「人ひとりにPC1台」がスタンダードとなっています。


 多様化した社会はより幅広く人材を求め、技術の進化が幅広い雇用を可能にします。オフィスデスクの天板つまり作業面は長年上下昇降しませんでしたが、作業盤面の上下昇降や傾斜調節を搭載していたオフィス家具は、旧来なかったわけではありません。製図工が用いていた製図板がそうでした。製図工は貴重な技能職であり、製図板には様々な工夫が盛り込まれていたわけです。

 現代になり、かつての「貴重な技能職向けの仕様」が、安価で一般向けに再普及しはじめているのが、ユニバーサルデザインなのかもしれません。
Copyright (C) 2014 オフィスデスク辞典 All Rights Reserved